大統領の理髪師 激動の60年代を生きた家族の心温まる秀作ドラマ

【あらすじ】

舞台は1960年代から70年代、大統領官邸「青瓦台(セイガダイ)」がある町、孝子洞(ヒョジャドン)。そこで理髪店を営むソンは、平凡ながらも妻と一人息子と共に幸せに暮らしていた。だがある日、突如として軍事クーデターが起こり、朴正煕(パク・チョンヒ)が大統領に就任。そしてひょんなことからソンは大統領専属の理髪師に選ばれることになり…。

【見どころ】

軍事政権に揺れた60年代から70年代の史実を基に、当時を生きる庶民が様々な事件に翻弄されながらも、たくましく生きる姿をユーモアたっぷりに描いていく。

理髪店の主人を演じるのはソン・ガンホ。ドジで教養もないが情に厚い一介の市民を好演している。劇中、1960年3月の大統領選不正選挙の様子が描かれるのだが、そこでは知り合いに指示されるまま現職大統領・李承晩(リ・ショウバン)を当選させるため、ライバル候補の票を隠す不正に加担。本人はノンポリなのだが、周囲に流されるまま大量の投票用紙を埋めたり、さらには食べてしまうダメっぷりには思わず笑ってしまう。
また1968年の北朝鮮による朴大統領暗殺未遂事件では、北朝鮮のゲリラ部隊が下痢を起こして暗殺に失敗したため、下痢の者は北朝鮮と関連のあるマルクス病であるとされ、多くの者が逮捕者されるという滑稽なエピソードも入れている(下痢の設定はフィクションだが、大統領暗殺未遂事件は実際に起きている)。

ソンは自分の息子ナガンが下痢をしているため、バカ正直に交番に連れていくと、ナガンが拷問されてしまうことに。ここから物語はシリアスな要素が強くなっていく。
この緩急の効いた展開が、最後まで観る者を飽きさせない。

  • 【監督】イム・チャンサン
  • 【出演】ソン・ガンホ/ムン・ソリ/リュ・スンス
  • 【日本公開】2005年
  • 【原題】THE PRESIDENT'S BARBER
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